ご近所さんから話を聞いて初めてうちに来られたKさん(60代・女性)、電話もわからずそのまま来院されました。
ちょうど他の患者さまの施術を始めたばかりで、ずいぶんお待たせさせてしまいました。
ご自宅はすぐの所にもかかわらず治療院で待たれたのは、それほど痛みが激しいということ。
私の腕につかまりながら靴を脱ぎ、ゆっくりとベッドまで歩きました。
3ヶ月前から腰とお尻(とくに坐骨結節)が痛くなり足を移動するのに力が入りません。
病院ですべり症だと診断され、痛み止めとコルセットで
「いつか治るだろう」
と、しのいでました。しかしなかなか良くなってくれません。
痛む側の右股関節は外方に曲げると激痛が走ります。ベッドで体の向きを変えるのも困難な様子です。
初回は「少し軽くなったかもしれない」という感じで帰られました。
しかし動作は来たときと変化がなく足を引きずっています。当然走ることなど出来ません。
道の反対側に渡るのも、車に注意しながらゆっくり横断していくしかありません。
術後の帰りはいつもこの後ろ姿をずっと見守っていました。
「このまま歩けなくなるのはいや!」
と、お母様の介護を始める前は週2回も水泳をするぐらい元気だったKさん、今は痛みで家事もつらいのです。
「家の中で動くことが普通に出来るまでにしなくちゃね!」
と言うと
「ああ、そうなりたい・・」
と、Kさんはうっすら微笑みました。
そして施術回数を重ねるうちに少しずつ、股関節も外側に曲げられ、施術ベッドでの寝返りも手伝うことなく一人で出来るようになりました。
6回目の施術日、Kさんが玄関からスタスタと歩いて
「お尻もどこも痛くないの!立ち上がりもそんなに痛くない」
と、思いがけない嬉しい報告とともに入ってきました。
「こんなに急に良くなるものなの?!」
とKさん。
それは私も不思議でした。
「でもそんなに簡単に治るわけないよね。」
と喜ぶ半面、まだまだ油断しないという意思を示すKさん。
それでも次回はずいぶん空けて大丈夫でしょう。
「・・ということは、家で普通に歩くことが出来るようになったってことですよね?」
と、私が聞くと
「そう!」
と、にっこり笑ってくれました。
ああ、本当に良かったです!